夜に
星明りに導かれるように外に出た。
明滅する夜空の砂浜に、
遠く近く、水音が響く。
岩の上に立って、空を見上げた。
真っ黒な闇の底に、無数の穴が開いていて、
そこから無数の光がこぼれ落ちている。
手を伸ばす。
ぽろ、ぽろとこぼれ落ちる光を、ひと粒だけでも受けとめようと、
差し上げた手のひらの隙間を風が抜けていく。
ああ、楽しいなあ。
こうして夜と戯れていると、ただ、ただ、幸福だと思う。
満ち足りた時間。
生まれる前、お腹の中にいたときって、
こんなふうだったんだろうか。
流れる水音を、心地よく聞いていた。
ときどき目を開くと、光が見えた。
やわらかく、あたたかいものに包まれていた。
母の呼ぶ声が聞こえた。
新しい世界ってどんなだろう。
幸福な眠りを眠っていた。
今も同じ。
空を見上げている時間は、とても幸福。
どんなひどい日でも、空を見れば幸せ。
眠って起きれば、新しい明日。
さて。
ちょっとした荷物を背負ってしまって、
毎日、石積みをしなければならなくなってしまった。
でっかい石。動かすのも大変だけど、
一つずつ、積んでいく。
大きな石垣をつくるのだ。
いつか、その石垣の上に立って、星をつかもうと思う。
たくさんの人が立てるように、でっかい石垣をつくるからね。
石垣ができたら、今度は井戸を掘ろうと思う。
深くて広くて、大きな井戸。
生きてるうちに、完成しないかもしれないけど。
そんな日々が始まります。
さ、明日はどんな一日だろうな。
おやすみなさい。
2007-04-13 00:19
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コメント(4)
真っ暗闇の中、外に出たら宇宙を独り占め。
話し相手はお星様だけ。
あ~、わかるなぁ、この安らぎ、ほんと、おかあちゃんのお腹の中にいるみたい。
これから、石積みのお仕事が始まるのね。
石垣ができたら、次は井戸掘り・・・
こーさんさん、本当に前向きだわ。
大変なお仕事が続くけど、一歩一歩蟻の様に歩んでいくしかないのね。
この広い宇宙の中では。
by mamire (2007-04-13 23:25)
石垣は一体・・・何だろうか・・・。
きっとやりがいがある大仕事なんですね。
明日は、きっといい日ですよ。
石積み日和! 明後日も明々後日も・・・。
遠くから応援してます!
by (2007-04-14 22:05)
mamireさん、
ありがとうございます。
どうしてでしょうね。雪の日と星明かりがすごい日には必ず、「呼ばれた」ような気がして外へ出るのです。
出ておいで、きれいだよ、って誘ってくれているのでしょうか。
石積みをしようと思ったきっかけのひとつは、mamireさんのお嬢さんの卒業式の記事を読んだからなんですよ。彼女のまっすぐな笑顔に、そして母であるmamireさんに感謝しております。
私はとてもあのように素直なお子ではありませんでした。今さらながら、母に苦労かけたなーと申し訳なく思っています。
深い感謝をこめて、一歩一歩蟻の歩みを歩んでいきます。
あーやっとナマケモノからアリに昇格(?)だわー。
こぎんさん、
ありがとうございます。
石積み日和!なんていい言葉(笑)。
この目の前に転がる大きな石の山が、
ちゃんと形を成していくのか、まだ自信がありませんが、
今日も明日も明後日も~~♪
と、「石積みの歌」を歌ってがんばります。
応援ありがとう。伴奏、よろしく!
by こーさん (2007-04-15 00:55)
素敵な表現の世界ですね。
雪明りや星の世界に星の世界に遊ぶ
こーさんの感性も素敵!
by むらさき (2007-04-21 21:35)