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本を読もう

人様のブログを読んで、読書量が少ないな~と反省する今日この頃。

面白そうだ、と思って買った本も、なかなか読めないでいる。なんかね、目が疲れちゃって。ちょっと読むと、もうしょぼしょぼなのよねー。家の電気、暗いし。

もう一つ、のっぴきならない理由がある。お金に余裕がない(=買えない)、という笑えない理由なのだが、それでもときどき、どうしようもない衝動に駆られて買ってしまう。だって、欲しいんだもん(笑)。

物欲は薄いはずの私だが、本だけはだめだったなー。あんなに行ってたライブや芝居、映画さえ、あきらめたのに。それには実はわけがある。

 

「家は借りて住め、本は買って読め」

小学生のとき、灰谷健次郎の本でこの言葉に出合って以来、座右の銘のように心に棲みついている。本屋で買おうかどうしようか迷ったときには、誰かが耳元で囁くようになった。

「本は買って読め」

そして、素直な私は財布を握りしめ、レジに並ぶのだ。「今日はお米はやめとこう・・・」なんて考えながら。

 


 

去年、電車で通院していたときは、電車内や待ち時間が読書タイムとなっていた。外の景色と本とを交互に眺めながら、いつの間にか眠りに落ちていることもしばしば・・・。そういうときは、もっぱら文庫本を持ち歩くのだけど、いちばん最近読んだ本がコレ。

 

世にも美しい日本語入門

世にも美しい日本語入門

  • 作者: 安野 光雅, 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/01
  • メディア: 新書

 

『世にも美しい数学入門』 (藤原正彦、小川洋子/筑摩書房)の続編?だと思うんだけど、絵本作家としても知られる安野光雅さんと数学者の藤原正彦さんの実に豊富な読書歴と、そこから展開される話が面白い。尽きることのない泉のように、どんどんと話が湧き出して止まらない。
この二人、実は師弟関係にあったそうで、藤原さんの小学校時代、図画工作を教えていたユーモアたっぷりの先生が安野さんだったそうだ。

紹介されている本を全て読破しようと思ったら、おそらく一生を費やしても足りないだろう(私の場合)。けれど、もしこれだけの本を読めたなら、どれだけ人生が豊かになるだろうか、と思う。

 

「由々しき問題は、若者が美しい日本語、すなわち文学を読まなくなったことである」「その美しさの片鱗にも触れぬまま・・・大人になってしまうことになる。大人になって初めて触れるのではもう遅い」

ちと耳が痛い。藤原さんによると、美しい日本語に触れ、さまざまな語彙を手に入れてこそ、はじめて「恋愛のひだも深くなる」のだそうだ。う~ん、そうかもしれない。うまいこと言うなあ。

藤原さんといえば、祖国に対する誇りや自信を取り戻せ、と時代の中でクローズアップされて話題となった書『国家の品格』や『祖国とは国語』で有名だが、私のおすすめはコレ。

                                        

若き数学者のアメリカ

若き数学者のアメリカ

  • 作者: 藤原 正彦
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/06
  • メディア: 文庫

もうずいぶん前に書かれたエッセーだけど、言葉がみずみずしいのよねえ。さすが、新田次郎さんとていさんの息子。

 

 

安野さんつながりで、もう一冊読んだ。

カラー版 絵の教室

カラー版 絵の教室

  • 作者: 安野 光雅
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 新書

 

「空想の宿題」という章があるんだけど、これがおもしろかった。

【問1】想像上の島のアウトラインを描いてください。

【問2】山の稜線を想像して描いてみてください。

【問3】石垣を描いてください。

・・・と続くんだけど、普段どれだけ曖昧に物を見ているかが試される。

正解は自然の事実の中にあります。

もちろん描いてみたのは電車の中ではなく、家に帰ってから。でも、電車の窓から恵那の山々を眺めながら、私にとっての「山」というのはこういう形だなあと思った。

子どもの頃から、つねに視界のどこかに山があったように思う。だから、見えないときでさえ、心の中に山はあった。九州の山、信州の山、恵那の山・・・。あの稜線の重なりと青い山影は、日本の山独特のものだよなあ。

 

「むしろ見えていないものを描くことに絵の意味があるのではないか」

という安野さん。

「わたしの場合、そのイマジネーションがどのようにして育まれたのかということを考えてみると、結局は子どもの時代かもしれない」

 

想像力の泉が、遊びの中に滾々と湧き出していた子ども時代。私が子どもだったとき、欲しかったリカちゃん人形も、レゴブロックも、親に「買って」とは言えなかった。そのかわり、空想という宝を手に入れたのかもしれない。

 

お気に入りの白いボールペンにティッシュを巻くと、それは「ドレスを着た美しい人形(=私)」になった。洗濯バサミをつないでいくと、ロケットになったり飛行機になったり。「私」はロケットにまたがって、宇宙の旅に飛び出した・・・。

「小屋」と呼んでいたその場所は、私たちの夢の遊園地だった。段ボールはジェットコースター。ときどき、それはボートにもなった。ワクワク、夢の冒険物語が生まれる、従姉妹と私だけの秘密の部屋だった・・・。

 

今は、空想というより妄想に走っているけれど、あの豊かな時代を取り戻すためにも、もちっと本を読もうかなあ・・・。


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コメント 7

toro

>「家は借りて住め、本は買って読め」
家は買っちゃいましたけど、「本は買って読め」は必ずや実行しております。
私にも耳元で囁く誰かがいます。本が安くなるというので、本屋さんで
アルバイトをしたこともありました。
確かに全くお金がなかった頃、図書館通いはしたんですけどね…^^;
こーさん、本の感想を書くのがうまくって、こりゃ参ったな私であります。
文章を読むことによる新しい発見ってありますものね。
本はやっぱり読まなくちゃ。
by toro (2007-02-07 09:56) 

derosa84

最近、めっきり本読んでませんね。
活字どころか漫画すら読んでません。雑誌も写真見て注釈を読む程度
まさに僕のブログのようですね・・・
by derosa84 (2007-02-08 00:02) 

こーさん

toroさん、
ありがとうございます。
toroさんも本の妖精さん(?)を飼っているんですね^^
今日、お金を下ろしたら、残金が1万と数百円ばかりでした(涙)。
受験のための問題集を買ったら、すぐに本屋から退散し、図書館へ行きました。もうしばらく、本は買えません~~。
文章を読んだり、音楽を聴いたり、芝居を見たり・・・全部共通しているのですが、いいものと出会うとき、「あ、今、新しい自分になった」と思います。
今日は『再生医療のしくみ』という生物の本みたいなやつを借りてみました。

derosa84さん、
ありがとうございます。
本、読んでませんか?私の場合は全く読まない時期と、読みたい~~って衝動に駆られる時期と、交互に訪れます。今は後者かな。
文字は読まないけど、ひたすら音楽を聴きまくって踊りまくっている時期もありました。歌いまくってる時期もあったし・・・。
そのときの自分が必要としていたんだなあ、と思います。
derosa84さんのブログはちゃんと人物背景があるから、いいんですよ。
「ああ、この人また買ったんだ・・・(笑)」って思いながら、見ています。
なんともうらやましい、趣味の世界!
by こーさん (2007-02-08 00:38) 

mamire

こんばんは。
私も本は買う方かな。
でも、読んだ後はあげちゃったり、売ってしまったりします。
そしてまた買うの。

旦那ちゃんはぜーーーんぶとって置く方。
だから、家が潰れそうです。
主に車の雑誌です。
頭の中にインデックスがあって、どんなに溜まっても、どの本に何が載っているかちゃんと分かっている。
好きってそういうことなのかもね。
by mamire (2007-02-09 22:09) 

大好きなんですけどね。通勤の電車乗車時間が18分だと、なにかと不便です。前は買う派でしたが、捨てられない私は、やっぱり借りて派になりました。もう、モノを増やしたくない年代にさしかかったかも。もっちろん経済的理由も大きい。寝る前の睡眠導入剤代わりだったけど・・・今、すぐに眠れるし・・・^^;

しかし、私の住む市の図書館は・・・全然ダメ。以前勤めていた市はすごく対応も知識もシステムもよかったので、充実した図書館ライフだったのですが・・・。
文庫本は文字の大きさもヤバイ!
by (2007-02-10 17:29) 

こーさん

mamireさん、
やはり本は買いますか。
問題は、読んだ後ですよねー。私はどうしても捨てることができず、かといってあげることもなかなかできません。
「いる」「いらない」で仕分けしてても、本はぜ~~んぶ「いる」になっちゃう。執着心が強いのかな。服や小物は「死んだらゴミ」と思えますが、本はなんだか個人のものであって、個人のものではない気がしてねえ^^

旦那さまは、頭の中にインデックスがあるのですね!それはすばらしい。
ほんとに車がお好きなんですねえ。
私の場合、読んだことさえ忘れている本もたくさんあるのですが、「読んだ」ことで、私自身が変わったと思うんです。再読すると、そのときの自分を反映させて、また新しい自分になる。
だから、本が捨てられません~~。
by こーさん (2007-02-10 22:46) 

こーさん

こぎんさん、
「18分」は居眠りするにも本を読むにも中途半端ですねー。
こぎんさんも捨てられない派ですね。
モノを増やしたくないって気持ちは確かにあります。
本とか書類とか、他人から見たら「紙くず同然」のものを後生大事に抱え込んで、引越しのたびに難儀してて、そろそろ・・・とは思ってるんですけどね。

図書館ライフ、ここが田舎暮らしの悲しい現実なんですが、図書館が少ないんですよねえ。長野のときはなかったし、今はあるけど、「これ、読みたい」って探すと、ない。
あまり期待をせず、とりあえず出合いを求めて通っています。
文庫本・・・最近、少し離しても読めるようになってきました・・・。
by こーさん (2007-02-10 22:57) 

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